はり灸は癒し上手  福井の鍼灸師ノートから H

2001年 (平成13年) 6月1日 (金曜日)

高齢者の応援団  老化に「待った」も?

 はり灸といえば、年をとって、お世話になるものという考えはもう古いーと何回か前に書いたが、超高齢化時代の現代こそ「お年寄りの応援団は、やっぱりはり灸」ということも強調しておきたい。

 県内の治療院に通うお年寄りから、こんな反応をされることがしばしばある。本来の来院の目的は「腰痛」「肩こり」の治療なのだが、「はり灸に来ていたら最近が遠かった耳が、前より聞こえるようになった」とか「目のかすみがなくなった」、「食欲が出て便通がよくなった」というのだ。

 人の能力の衰え、老化にはり灸が若干の「待った」をかけるわけだ。人間、六十、七十歳ともなれば、持病の一つや二つあっても不思議ではない。さらに病院などで「あなた、それは年のせいですよ」などと専門家から言われ、あきらめている人も多いのではないか。しかし老化は防げないにしても、はり灸は潜在的な治癒能力を引き出す力があるので、前述のような患者の反応があったりするのだ。

 お年寄りの大敵である「風邪」。今年の冬は、そう大流行したように感じなかったが、治療院によっては春先にひざ痛や首や肩の痛み、座骨神経痛などを訴えるお年寄りが多かった。実は「鼻水」「せき・くしゃみ」などの症状こそなかったものの、これらの患者は実は風邪をひいていて、その関係で体のあちこちに痛みを訴えるケースも結構多い。

 実際、患者によっては「きょうは風邪をひいたので、はり治療は休みます」と来院を控えることもあるが、これは逆で、風邪から来る肩こり、神経痛なども多い。よほどの発熱とかの症状が出ない限り、はり灸治療の方が適していることもある。風邪一つ治すのにも西洋医学の薬で治すか、東洋医学で自然治癒力を高めるか、両方を組み合わせるか、症状によってお年寄り自身がもっと対処法の幅を広げてもらえばいいと思う。

 またお年寄りに限らず意外と知らない人が多いようだが、はり灸にも医療保険が使えるということ。神経痛、リウマチ、頸腕症候群、五十肩、腰痛、頚椎捻挫後遺症については、かかりつけ医師の同意書さえもらえれば、医療保険を使って治療が受けられる。治療院によっても多少異なるところもあるが、そのほか、市町村によって助成券制度もあるので詳しくは各院に問い合わせていただきたい。(県鍼灸師会青年部)

(イラストは鍼灸師の中村寛さん)

転ばぬ先のはり