はり灸は癒し上手  福井の鍼灸師ノートから C

2001年(平成13年)4月27日(金曜日)

知ってる? こんな効用   抜歯、炎症の痛み止め

 はり灸の世界をもっと知りたいという方のために、暮らしに身近で、意外と知られていない「はり灸」の効用を紹介しよう。

 だれもが歯を抜くのは痛い。それが親知らずだったら「顔が腫れて腫れて」という経験をお持ちの方も多くないだろうか。春先、福井市のある治療院に男子高校生が「明日、親知らずを抜かなあかんのや。痛くならんようにはりを打ってや」とやってきた。はり灸の経験も十分あり、はり灸を信頼している子だった。 「それだったら、歯を抜く直前にもおいでよ」とアドバイス。

 その子は翌朝もやってきた。はりを打ったのは「手の三里」というツボ。このツボは目の痛みや炎症、中耳炎、肩こりなどにも効き目があるツボで、特に顔面部の炎症、化のう止めなどの効用がある。一_ほどの 「皮内針」を打ったまま、歯科医院へ。そして予定通り歯を抜いた。 しかし血も早く止まり、腫れも軽くて済んだという。病室には、同じように歯を抜いた高校生がほかにもいたが、看護婦さんが「君は、なんで腫れないんやろ?]としきりに不思議がった。事前に「はりを打っているから大丈夫」という安心感もあったかも。

 次はお灸の話。別の治療院で腰痛などを訴えていた六十代の主婦が、「何とかならんか」と合わせ依頼したのが足の裏の「うおのめ」。うつぶせになってもらい、うおのめの上にモグサを乗せた。普通のお灸は米粒の半分ぐらいのモグサを三壮から五壮ぐらいすえるのだが、この時は米粒大のモグザを十壮ぐらいすえた。皮膚の角質層が厚く、これくらいのお灸はまったく熱くない。その後ひと握りのモグサを主婦に渡し、毎日自分でお灸をすることを勧めた。

 このお灸を一週間続けたところ、うおのめが次第に炭状になって浮き上がり、しまいには「ぽろり」ととれた。主婦もそれまであまりに痛かったので意外だったらしく「あら不思議やね」と目を丸くしていた。と同時に腰痛や頭痛なども回復した。

 こうした例に限らず、はり灸にはもっと暮らしに身近な凝り、痛み、しびれなどの不快な症状の治療例が数多くあるが、限られた紙面では紹介できない。ただ、はり灸がなかなか奥深い世界であることを知ってもらいたい。

(県鍼灸師会青年部 イラストは鍼灸師の中村寛氏)

「どっちのツボもいい仕事してますね」