はり灸は癒し上手  福井の鍼灸師ノートから  A

2001年(平成13年)4月l3日(金曜日)

瞬時に軽<トントン    痛くないのは日本スタイル!!

 そもそもはり治療は、大昔の旧石器時代晩期、今の中国大陸が起源とされる。当時のはりは石ばり。最初は石のとがっている部分を身体に押し当てると痛みが和らいだり、病気がよくなったりすることが分かってきた。だんだん経験が積み重なって、身体には刺激されると効く特定の個所があることが分かってきた。それが後の「ツボ」である。ツボとツボをつなぐルートを調整するのがはり灸の役目だ。

 はりは中国の南方で、お灸は北方で発展を遂げた。日本には、中国または朝鮮半島から仏教伝来とともにはりが入ってきた。はじめは貴族ら限られた入の医療だったが、それが徐々に庶民に広がっていった。だが、鍼灸医学が本場の中国から伝わって千五、六百年たつが、現在の日本と中国のはりには違いがある。

 実は日本のはりの方が「痛くない」のだ。日本では江戸時代、はりを金属の管に入れ、指でたたいて刺す日本独特の鍼管法が考案された。痛くないように刺すためだ。中国のはりは日本のものより太く、刺した後、はりを動かし、治療効果が引き出せる反応のある場所を探す。県内でも、中国鍼を学んだことのある鍼灸師によると「中国では、はりは痛いのが当たり前。それは医師も患者もそう思っている」のだ。

「痛くないはり」が主流になった理由は、大陸に比べ、湿気が多い日本では刺激に敏感で、痛みを嫌うようになったから。県内の治療院でも患者から「なぜ、はりなのに痛くないの?」とよく聞かれるが、「松葉の先のように実は先端が丸くなっているのです。刺すというより、身体に分け入るような感じ、その証拠に出血もしないんですよ」と答えると納得される人が多いみたいだ。

 実際、現代の治療院で使われているはりは太さは0.16_から0.2_ぐらい。またツボに管先をあて、トントンと軽くたたくように瞬時に打つため痛くないのだ。

 もう一つ「はりは清潔なんですか?」とよく質問される。エイズや肝炎などの感染を心配されてのことだと思うが、県内の治療院でもほとんどがディスポーザプル(使い捨て)となってきている。そうでなくても器具を用いて滅菌されているので、まず感染な
どは大
丈夫。安全かつ衛生的は当然のことである。

        (県鍼灸師会青年部 イラスト・中村寛氏)


         「お灸は、百人一首にも詠まれている」