最終回 はり灸は癒し上手 福井の鍼灸師ノートから I
2001年 (平成13年) 6月8日 (金曜日)
現代病克服増す役割 世はストレス社会
いよいよこの連載も最終回。癒しブームの中、「実は昔から、はり灸は癒し上手なんですよ」と言いたいがために、県民にはり灸に少しでも関心をもってもらったらと始めたのだが、反響も大きかった。それらの声を聞くたびに、「ああ現代社会で、はり灸が活躍できる余地が十分あるなあ」と感じている。
それらの声を聞いてもストレス、多様化する衣食住などで、さまざまな身体の異常に悩まされている人は多い。そんな現代病の代表的なものの一つに「帯状疱疹」が上げられるかもしれない。鍼灸師は、背中やおなかなど患者の皮膚の色つやをみることも診断の一つで、そのため湿疹には過敏なほど目がいく。鯖江市内のある治療院では、ここ最近一年の間に三、四人の帯状疱疹の患者が見つかっているほどだ。
帯状庖疹の場合、更年期の五十歳すぎにみられることが多く、背中や腰、場合によっては顔や目に赤い発疹が出る。患者は「湿布のかぶれが治らない」と勘違いしていることもある。症状がひどいと神経痛に発展し、激痛が走ることがあり「眠れない」と訴えることもある。
直接的には昔かかった水ぼうそうのウイルスが、体の抵抗力が落ち、免疫力が下がることによって神経に発症してしまうのだ。働き盛りで大黒柱と頼りにされて、職場や家庭で懸案をかかえたり、プレッシャーを感じたり、いわゆるさまざまなストレスが発症の背景にあるようだ。もちろん頭や目などに出た場合をはじめ、症状によって病院での治療を優先してもらえればよいのだが、後に残る神経痛にははり灸が優れた効果を発揮する。
世はストレス社会、さらに情報高速化のIT時代である。社会は昔のようにゆっくりリズムで動いてくれない。それだけに、人の免疫力が落ちて発症するような病は、今後もさらに増え続けるかもしれない。そんな時代、人は薬にばかり頼っていいのだろうか。自分自身が持っている自然治癒力をあらためて見直すことも大事ではなかろうか。事実、欧米では鍼灸師の育成に力を注ぎ、はり灸を代替医療として定着させようというのが大きな流れである。はり灸は単に身体を癒してくれるだけでなく、「よりよい身体」をつくるお手伝いとなるはずだ。 (県鍼灸師会青年部) =おわり=
(イラストは鍼灸師の中村寛さん)